ニアショア開発って実際どう?いま注目される理由とその実態

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ニアショア開発って何?

ニアショア開発という言葉、最近よく耳にするようになりました。これは、都心部の企業が自社のシステム開発を、地理的に近い地方拠点やパートナー企業に任せるやり方です。海外に任せるオフショア開発と違って、日本国内で完結するため、言葉の壁や時差といったストレスが少ないのが大きなポイント。

2000年代くらいから徐々に注目され始めていたものの、当初は「本当に大丈夫?」「クオリティ落ちない?」という懐疑的な見方もありました。でも最近では、地方の人材レベルも上がってきていて、リモート環境が整った今、むしろ現実的で強力な選択肢になっています。

ニーズの変化と市場の空気感

ここ数年で、開発現場の空気はかなり変わりました。コロナ禍を経て、多くの企業がリモートワークに本格的に対応し、開発チームが物理的に一緒にいる必要はないという意識が定着しました。これがニアショア開発の追い風になっています。

特に首都圏ではエンジニアの人件費が高騰していて、「同じ予算でもう少し余裕のある体制を作れないか」と考える企業が増えています。地方に目を向けると、技術力があって、仕事にも真面目に向き合ってくれるパートナーが少なくないんですよね。もはや、ただのコスト削減目的ではなく、「信頼できる協力先を得たい」という真剣なニーズに変わってきている印象です。

拠点選びと、実際にうまくいっている例

ニアショアの拠点として有名なのは、福岡、札幌、仙台、沖縄、松山、静岡あたり。中でも沖縄は注目度が高いです。若い人材が多く、自治体の支援も手厚く、自然環境も相まって「移住して働きたい開発者」が集まりやすい土壌があります。

ある企業は、東京のチームが要件定義と設計を行い、沖縄のチームが実装とテストを担当するという体制を組んでいます。驚くべきことに、これで開発コストは3〜4割ほど下がり、品質面でも十分に満足しているとのこと。もちろん、最初からすべてが順調だったわけではありません。教育やスキルギャップへの対応は必要でしたが、それも継続的なOJTや、学校との連携で解決してきたようです。

これからのニアショアと、企業が考えるべきこと

今後のニアショア開発は、単なる「地方の安い外注先」ではなく、もっと本質的な価値を持つものに変わっていきそうです。たとえば、地方にある企業の中には、クラウドやAI、セキュリティなどの先端分野に特化したチームを育てているところも出てきています。東京や大阪の企業と水平な関係で協力し、対等に企画や改善提案を行うようなパートナーシップが今後の鍵になるでしょう。

発注する側の企業にとっても、「どうやって安く開発するか」ではなく、「どうやって一緒に価値を作っていくか」という視点が求められます。そのためには、現地に足を運んでの顔合わせや、定期的なミーティング、育成支援なども必要です。地方側も、受託型から脱却し、自社のサービスやSaaSなど、将来につながる動きを意識する必要があります。

ニアショア開発は、単なる一時的な流行ではなく、これからの日本のIT業界の新しいスタンダードになっていく可能性を秘めています。今こそ、「一緒に作る」という意識をもった開発体制が求められているのかもしれません。

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